2024 年 2023 巻 FIN-032 号 p. 03-04
金融市場で観測される成行注文流は長期相関を持つことが知られている。成行注文流の長期相関とは、一度買い(売り)注文が観測されるしばらく連続して買い(売り)注文が観測される現象である。現在分野では、注文分割取引という投資家の実務行動がこの現象を引き起こしていると考えられている。さらに、近年提案された一般化Lillo-Mike-Farmerモデルの理論予測によると、市場ごとの注文分割者の注文頻度や注文分割回数の分布を把握することが注文流の長期相関を理解するうえで重要であることが示唆されている。そこで、本研究では、東京証券取引所における注文分割取引者の注文頻度や注文分割回数の分布などの性質を調査する。最終的に、注文流の長期相関の起源を取引者の戦略の生態系という観点から分析した結果を報告する。