日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ハイスループットな遺伝子機能解析に向けたシロイヌナズナ培養細胞の超低温保存法の確立
小川 洋一浦野 晶子森 久美子櫻井 望鈴木 秀幸斉藤 和季*柴田 大輔
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p. 318

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抄録
工業原材料生産に関わる多種多様な植物での代謝制御方法の開発を最終目標として、モデル植物を用いた代謝関連遺伝子に関するハイスループットな遺伝子機能解析(ファンクショナルゲノミクス)を行なっている。特に、シロイヌナズナ、ミヤコグサのメタボロミクスを進めるために、代謝関連遺伝子を網羅的に遺伝子導入した培養細胞リソースの整備を進めている。制御された生育環境下で均一な実験材料を確保することが容易な培養細胞は、植物体を用いる方法と比べて遺伝子発現・代謝プロファイリングに適した材料である。その反面、ハイスループットな遺伝子機能解析を行なうには、多数の形質転換培養細胞系統を長期間安定的に維持・保存するための技術が必要である。
本研究では、シロイヌナズナ懸濁培養細胞T87株を材料に培養細胞の保存を可能とする種々の手法・条件を検討し、培養細胞を簡便かつ安定して保存できる超低温保存法を確立した。アルギン酸ナトリウム溶液に懸濁した培養細胞を塩化カルシウム溶液に滴下することでビーズ化し、このビーズをシリカゲル上で脱水処理した後に液体窒素中で急速冷却・保存することで再加温後に培養細胞の再増殖に成功した。至適条件下では、ほぼ100%のビーズから培養細胞の旺盛な再増殖が認められた。超低温保存が及ぼす影響を調べるためにDNAアレイ法による網羅的遺伝子発現解析、質量分析器を用いる代謝プロファイリングを行なっている。
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© 2004 日本植物生理学会
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