2024 年 2024 巻 BI-024 号 p. 11-
企業の広告活動と様々な社会・経済情勢の変化との関係を検討するため,TV-CMを出 稿した企業のネットワークについて時系列で構造変化を分析した.月次のテンポラルネットワークか ら得られたラプラシアン行列を用いて,ネットワークの状態の変化検知を行った.広告活動と景気後退や新メディアの登場といった様々な社会・経済情勢の変化との関係は,十分に検討されていない. 2008年1月から2020年6月までのデータを用いたクラスター分析の結果,ネットワークの状態の循環的な変化と構造的な変化が捉えられた.ネットワークの状態の変化は景気循環とは一致しておらず,構造的な変化は東日本震災やCovid-19蔓延の前後で急激に起こったことがわかった.このことは,企業の広告活動の構造的な変化は緩やかには起こらず,外生的なイベントによって非連続に実現する可能性を示唆する.