人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
本邦中古スマートフォン市場における価格形成に対する機種ブランドと為替レートの影響
市川 佳彦平野 友貴居村 裕平中條 悠介桑本 奈緒堤 鴻志郎中川 慧
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2025 年 2025 巻 FIN-035 号 p. 102-107

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抄録

スマートフォンは生活必需品となっているものの、半導体価格の高騰や円安の影響などで新品価格は上昇傾向にあり、消費者の負担が増大している。結果、価格面で有力な選択肢として中古スマートフォン市場の利用が拡大し、国内外で重要な二次流通市場を形成するに至っている。こうした中古スマートフォン市場の拡大を背景に、中古スマートフォンの価格形成要因を分析することは、買取企業の適切な価格設定や消費者の購入意思決定などの一助となり、さらには循環型経済の推進に資する重要な課題である。先行研究では、販売サービス形態間の価格維持の差異などについて一定の知見が蓄積されている。しかしながら、価格形成に重要な要因である機種ブランドや、スマートフォンの輸入依存度の高い日本市場において重要なドル円為替レートと中古価格の関係については分析されていない。そこで本研究は、2018年から2024年にわたる機種ブランド別の月次買取価格データに基づき、日本の中古スマートフォン市場における価格形成要因を分析する。分析の結果、価格を決定する最も支配的な要因は発売からの経過時間であり、機種ブランドではApple社製品は減価が緩やかであることが確認できた。次に、為替レートの影響を評価するため、価格と為替レートの月次変化量を用いた時系列分析を実施した。その結果、為替の短期的な変動は価格変動に直接的な影響を与えない一方で、iPhone端末については過去1~2か月の変動が約3か月後の価格変動に対して弱い正の相関を持つことが確認できた。最後にXGBoostを使った研究を行い、経過月数や為替の影響を確認した他、容量が非線形な影響を与えていることがわかった。

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© 2025 著作者
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