テキスト情報に基づく決算サプライズは, 数値指標に基づくサプライズよりも株価に強い影響を与える可能性が示唆されている.本研究では, 日本株の決算短信から数値サプライズ指数(SUE)と,大規模言語モデル(LLM)を用いて構築したテキストサプライズ指数(LES)を構築して,決算発表後の株価がサプライズの方向に継続して動く現象(Post-Earnings AnnouncementDrift; PEAD)を検証した. SUEおよびLESの単体では, PEADの一貫した残存は確認できなかった.一方で, 両指標の組合せにおいて,とりわけSUEが高くLESが低い局面でサプライズの符号と整合するドリフトが観測され,限定的な条件下でPEADが現れることを確認した. さらに, LLMsが捉えている文脈情報は,数値情報や辞書ベースの単語情報とは独立に決算後のリターン変動へ情報をもたらすことが示唆された.
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