2025 年 2025 巻 FIN-035 号 p. 42-43
金融経済学の分野では、株価の予測は難しい一方、成行注文流の予測は容易に行うことができると知られている。一般に、買い(売り)注文は、株価を上昇(下落)に寄与する。そのため、成行注文流が予測可能であることと株価の予測は困難であることは、一見矛盾するように思われる。そこで、本研究ではこのパラドックスを解決するために、成行注文流の予測可能性の起源である注文分割行動と価格インパクトの経験則を組み合わせた理論モデルを開発した。その結果、成行注文流の予測可能と株価の予測不可能性が共存するメカニズムを明らかにした。本講演では、その理論モデルの詳細とその厳密解に基づいて議論する。