株式市場における構造変化の検知は、投資戦略やリスク管理において重要な課題である。本研究では、Fiedlerベクトルと情報エントロピーを用いた株式ネットワークの構造変化検知手法を提案する。株式市場を銘柄間の相関に基づくネットワークとして表現し、景気循環や市場レジームの変化に伴うネットワーク構造の再編を捉えることを目的とする。Fiedlerベクトルはグラフラプラシアンの第二固有ベクトルであり、潜在的なクラスタ構造を示す。また、これに対応する第二固有値はネットワーク結合の強さを特徴づける。この特性を株式ネットワークに適用し、銘柄のネットワーク上の配置から得られる構造的特徴を情報エントロピーで定量化し、その時系列変動から構造変化を検知する枠組みを構築する。米国株式市場を対象とした分析から、検知された変化点と株価指数の転換点との対応を確認することで、本手法の有効性を検証する。