主催: 人工知能学会
会議名: 第100回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 100
開催地: 国立国語研究所 講堂
開催日: 2024/02/29 - 2024/03/01
p. 111-115
本研究は、国立国語研究所で現在構築中の『子ども版日本語日常会話コーパス(仮)』 に格納予定である家庭内での幼児 (3名、1歳 7ヶ月~5歳 7 ヶ月時)と保護者またはきょうだいとの会話データを対象に、スピーチスタイルのアップシフトの相互行為的機能と発生環境を分析する。アップシフトは常体を基調とする会話が一時的に敬体に切り替わる現象である。本研究のデータではアップシフトは2歳頃からの家庭内会話に現れ始め、家庭内での遊びにおいて特定の社会役割を演じる際や、ルールや決まりごとについての説明、実演や宣言といった公的な発言の合図としての起こるという特徴が観察された。幼児のアップシフトを受け、保護者もまた敬体を用いて特定の社会役割を演じ始める、あるいは実演や宣言の状況設定に参加する形で反応をすることが多く、幼児のアップシフトが互行為ユニットへの切り替わりを合図する機能を果たしていることが示唆された。