人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会
Online ISSN : 2436-4576
Print ISSN : 0918-5682
100回 (2024/02)
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アイロニーの意図モデル誰にどのように思わせようとしているのか
秦 大地
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p. 116-121

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抄録

本稿では発話における意図に焦点を当て、アイロニー伝達の複雑さを解きほぐそうと試みた。アイロニーは否定的評価の婉曲的な伝達であるがゆえに、その暗示と解釈において話し手と聞き手の推測は複雑に組み込まれる。この意図の入れ子構造は、従来のアイロニー論で見逃されていた観点であり、本稿はこの点のモデル化を行なう。この点に加え、以下の3つの観点も考慮に入れられる。・オーディエンス・デザイン:話し手は誰を聞き手として想定するかによって表現を変える・ダブル・オーディエンス:話し手の意図が伝わる相手とそうでない相手とを区別して考える必要がある・ターゲット:聞き手とターゲットは常に一致するとは限らない。これら諸観点の考慮から明らかなのは、話し手はアイロニーの発話に際し、誰に・どのように理解させるかを緻密に設計しているということである。つまり、アイロニーは視点によって見え方が変わる言語表現である。

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