主催: 人工知能学会
会議名: 第100回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 100
開催地: 国立国語研究所 講堂
開催日: 2024/02/29 - 2024/03/01
p. 95-100
日常会話において,参与者が過去に経験した「嫌なこと」についての語り (complaint) において,しばしば語り手がその語りの登場人物の言動を笑うべきもの (laughable) として提示し,それについて受け手が笑うという事態が観察される.本研究では,連鎖上の位置およびターンの構成を分析し,laughableがどのようにcomplaintの語りに導入されているのかを明らかにする.分析の結果,以下のことが明らかになった.Laughableが導入されるターンは,その直前に長いポーズが置かれる,フッティングが変えられているなど,語りのそれまでの部分と切り離されて生じる.そのことにより,そのlaughableをcomplaintの他の部分と区別し,受け手が笑うことのできる位置を作り出していると考えられる.