人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会
Online ISSN : 2436-4576
Print ISSN : 0918-5682
100回 (2024/02)
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"コミュニケーション障碍"は相互行為の分析によって理解できるか?—非典型者をとらえる視点の整理
山本 敦牧野 遼作
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会議録・要旨集 認証あり

p. 90-94

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抄録

「非典型的相互行為atypical interaction」とは、会話分析を主な分析手法としてコミュニケーション障害の相互行為的側面に着目した研究を行う比較的新しい学際的領域である。本発表では、非典型的相互行為者("障害を呈する"相互行為参与者)について従来の"能力が損なわれている不完全な典型者"という見方から、"限定された能力を駆使して相互行為状況に適応しようとする非典型者"、さらには"典型者とは異なる形の能力を持つ非典型者"という見方が提示されてきた流れを概観する。そのうえで、この流れを推し進め非典型者の"コミュニケーション能力の特有性"を分析していく際には、会話分析の手法には理論上の限界があるだけでなく、誤った知見を体系的に生み出してしまう危険がある可能性を指摘し、その問題の解決策についても論じたい。

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