主催: 人工知能学会
会議名: 第103回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 103
開催地: 早稲田大学 40号館 グリーン・コンピューティング・システム研究開発センター
開催日: 2025/03/20 - 2025/03/22
p. 218-221
ろう者と聴者とがタップダンスを行うとき、どのような方法で身体動作の同期を達成しうるだろうか。本研究では、聴視者が講師となり、ろう者、視覚障害者および聴視者の生徒とタップダンスナンバーの練習をする場面を観察記録した。この練習では、講師は、ろう者、視覚障害者、聴視者の全員に対して同期に必要な視聴覚的手がかりを出す必要がある。この手がかりにどのような時空間構造があるときに同期が達成されるかについて、26例をELANによって分析した。その結果、講師は、手拍子などの聴覚的な手がかりを発する動作の直前に、複数の拍にまたがる予備動作(大きな振り上げなど)を行ったり、起点のはっきりした動作(組んだ手をすばやく離すなど)を行うことで、聴覚的のみならず視覚的に正確なキューを生み出していることがわかった。また、こうした動作は、何度かの試行錯誤の末にその場で編み出されていくこともわかった。