会議名: 第106回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 106
開催地: 早稲田大学 早稲田キャンパス8号館B107
開催日: 2026/03/03 - 2026/03/04
p. 129-134
本研究は、理由疑問文という言語形式が、実際の会話の中でどのようなプラクティスに用いられているのかを、会話分析・相互行為言語学の枠組みに基づいて検討するものである。理由疑問文が産出される相互行為環境、受け手による理解、話し手のさらなる反応を詳細に分析した結果、理由疑問文が話題管理に関わる二つのプラクティスに用いられていることが明らかになった。一つ目は、新たに提示された話題の詳細な展開を促すプラクティスであり、二つ目は、直前のやりとりに残された相互行為上の積み残しを回避しつつ話題を移行させるプラクティスである。さらに、この二つのプラクティスに応じて、理由疑問文の異なる発話フォーマットが体系的に使い分けられていることが示された。これらの結果は、発話形式の機能が、抽象的な言語知識ではなく、相互行為の中で、会話参加者が直面する課題への対処として立ち上がるものであることを示唆している。