抄録
現在, ニアースライドコンベヤは板状の重量物・パレット等の床面上横送りに, 各種の工場で利用されている。農業用としてはライスセンターなどの一部で貯留タンク内の籾の流動化搬送に利用がみられる。本研究の目的は, 従来のエアースライドコンベヤの空気利用効率をより高めて農用施設内での利用範囲を拡大しようとするものである。すなわち, 搬送対象物の移動に伴い, 対象物の直下床面からのみ空気が流出する機構の開発を主目的とした。そのためには, 浮上対象物の位置を感知し, それに応じて, 必要な床面からの空気流出を制御しなければならない。位置感知の方法としてはリミットスイッチなどを利用した接触法と, 光電管・磁力等による非接触法とがある。構造が比較的簡単で安価であり送風空気圧以外の動力を用いない制御方法を目標として, 本研究では, 浮上対象物下部の空気圧を利用し, 空気制御弁を機械的に開閉する機構を試作し, その機能特性についていくつかの実験を行なったので結果を報告する。