1990 年 52 巻 1 号 p. 41-50
トラクタ運転者がかじ取りハンドルやペダル・レバーなどの操縦装置を操作する時, 何等かの作用力を運転席に及ぼしている。本研究はトラクタ運転者の運転動作を運動力学的な観点から解明することを目的としている。本報では, ペダル踏み込み動作に強く関連している座席背もたれへの作用力について検討した。その結果, 背もたれ力は必ずしもペダル踏力と比例関係を示さないが, 運転者の体重との比較では一定の大きさと方向を示した。また, 左右ペダルの踏み分けにより, 集中力としての作用点は背もたれ中央部で移動し, 背もたれ力の方向により両ペダルの操作を識別できることが判明した。第2報では運転席回りの力学的平衡について報告する。