本研究は, 摘採茶葉 (生葉) の品質を向上させるため, 従来の機構とは異なる手摘みの手法に類似した選択的摘採を可能にするこぎ摘みロール機構を有する新しい摘採機の開発を目的とする。
本こぎ摘みロールは, 左右対象に半円形ラセン溝を加工した2本1対の円筒から成り, それらが互いに逆回転することにより, 円形のこぎ摘み穴が連続的に形成される。これにより, 茶芽の下位を誘導したこぎ摘み穴は, 芽長方向に移動しながらこぎ摘む作用を生じる。本報では, このこぎ摘み穴の設計要素を明らかにするため, 特にこぎ摘み穴形状と摘採生葉の性状との関係を実験的に調べた。その結果, 良質の生葉を得る上で, こぎ摘みロールには, 1個のこぎ摘み穴に1芽を誘導する機能 (1芽1穴方式) が有効であり, さらにこぎ摘み穴の大きさは, 穴径φ2.5mmが適切である等を明らかにした。