1997 年 59 巻 1 号 p. 49-58
本研究は, 地磁気方位センサ (以下, GDSという) を中核とした農用自律走行システムを構築して, GDSを航法センサとして使用した場合の有効な利用法の確立を目的としている。 GDSの方位情報のみを用いたPI制御によって, 平坦な路面を自律直進させた場合, 60mの行程長に対して約20cm程度の横方向偏差で直進走行させることが可能である。しかしながら, GDSを用いて傾斜地や任意経路を自律走行させる場合には, 磁性体である車体の影響による磁気環境の歪みや車体傾斜による方位誤差をさらに高精度に補正することが課題となる。本研究は, ニューラルネットワークを適用した傾斜・磁気環境補正法を考案して, ほ場走行試験によって方位補正効果を確認し, その有効性を明らかにした。