農業機械学会誌
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リモートセンシングによるイネの窒素保有量の推定
柳 讚錫村主 勝彦梅田 幹雄稲村 達也
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2004 年 66 巻 2 号 p. 85-96

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抄録

イネを対象に精密農業を行うために必要な, 広域リモートセンシング技術の応用による窒素保有量の推定の可能性について考察した。基肥3水準, 穂肥3水準を組合わせた副圃場の幼穂分化期と出穂期にリモートセンシングにより得た画像を, サンプリング地点の平均値から得た植生指数 (Vegetation index) と, 試験区の全面積の平均値から得た植生指数の2つの方法で解析し, 化学分析による窒素保有量と比較した。ただし, 植生指数は4つの方法で算出した。窒素濃度を示す植生指数と株の体積を示すLAI (葉面積指数) 及び乾物重の積, 及びLAIと乾物重の代りに, 4つの植生指数相互の積と, 窒素保有量との相関を求めた。同様の方法を, 主圃場の幼穂分化期の窒素保有量の推定に適用した。さらに, 植生指数とLAI及び乾物重の積, 植生指数相互の積を, 窒素保有量の推定値であるSPAD値, 生育指数, LAIと, 化学分析による窒素保有量と比較し, それらによる窒素保有量の推定の可能性についても考察した。副圃場の幼穂分化期と出穂期では, 4つの植生指数相互の積から窒素保有量を推定することが可能であった。しかし, 穂肥計画のため窒素保有量の推定が必要である主圃場の幼穂分化期では, 区画間の変動が少ないこと及びサンプリング時期のずれのため, 副圃場と比べて推定精度は低くなった。

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