農業機械学会誌
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二毛作栽培体系を活用した燃料用バイオマスエタノール生産に関する研究
栃木県を事例とした分析
池川 直樹岩渕 和則宮竹 史仁関本 均柏嵜 勝
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2006 年 68 巻 5 号 p. 41-51

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抄録
米麦二毛作栽培体系を用いた燃料用バイオマスエタノール生産の可能性について検討した。米麦二毛作栽培体系は土地生産性が高く, 単作と比較してバイオマスエタノール生産量の増加が期待でき, かつ連作障害等の土壌への負荷の無い優れた伝統的農法である。検討対象地域として栃木県を選び, 作付け方式, 品種および栽培期間について発育指数を指標とした生長予測に基づいてより多くのバイオマスエタノール収量を得る組み合わせを見出した。さらにエネルギ収支分析のため, 栽培, バイオマスエタノール製造および原料輸送についてインベントリ分析を行った。その結果, エネルギ収益は県南部で10アールあたり21.7GJ, 県北部で18.8GJとなり, エネルギ面から米麦二毛作によるバイオマスエタノール生産は充分可能であることが示された。ただしエタノール製造コストは約145円/Lとなり, さらに発熱量基準で考えると, エタノールはガソリンに比して発熱量が6割程度であるので, さらなるコストダウンが求められる。
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