デマンドペースメーカーのデマンド機能は不応期を除き, ほぼ一定に保たれている. しかし, デマンドペースメーカーを植え込まれた患者で, 自己脈がセンシングされたり, されなかったりする場合がある. この現象を良く検討すると, R-R'間隔が狭くなればなるほど, R'波はセンシングされやすくなることがわかった. 心内膜心電図または心筋電極より, 直接R波を記録しながら, R-R'間隔をいろいろ変化させ, R'波の高さを検討した. R'波は不応期直後のときが最高となり, R-R'間隔が延長すればするほど, R'波は低くなる. いわゆる心拡張早期には心臓が収縮状態で心筋が厚いため, R波波高が高くなるものと考えられる.この現象は, 右心室のみならず, 左心室に縫着した心筋電極においても, 同様と認められた. これより, 拡張早期のR波はセンシングされやすいことが理解される.