抄録
ラット膵を機械的に細切りした後, Coliagenase及びDNA aseで更に細くし, これをalginate, polylysine及びpolyethyleneimineから構成される半透膜でmicrocapsule化し, 49日間培養を行なった。培養期間中培養液中のブドウ糖濃度に反応して十分なインスリン分泌が認められた。更にこの期間中にPerifusion testをこれ等に行ない高濃度ブドウ糖に対し十分なインスリン分泌増加が認められ同時に, 低濃度ブドウ糖に対しては, 速やかなインスリン分泌低下が認められた。しかしながらmicrocapsule化された膵細小組織とmicrocapsule化されない組織の間ではインスリン分泌反応性に有意な差は認められなかった。microcapsule化した膵単離ラ氏島移植実験において, 移植免疫をある程度克服出来たという報告があり, これ等から膵ラ氏島にまで単離せず酵素的に細小片にした膵組織を用いたmicrocapsuleが今後糖尿病治療のための膵移植時に起こる拒絶反応回避に有用であろうと考えられる。