人工臓器
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軟質ポリ塩化ビニルの細胞毒性に対するプラズマ処理の影響
寺田 良蔵鈴木 慈郎森 有一長岡 昭二菊地 哲也西海 四郎畑田 研司小林 弘明
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1982 年 11 巻 6 号 p. 1187-1190

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抄録
毒性物質の細胞に与える影響を感度良く測定することができるMEM培地混合法を開発した。本法の細胞毒性の検出感度は従来の細胞毒性評価法(ディスク法, 寒天培地混合法)と比較して10~100倍高い。本法を用いて医療用軟質塩化ビニル樹脂(PVC)の可塑剤であるDEHPの細胞毒性を評価した結果10ppm以上で細胞増殖阻害が認められ, 70ppm以上では細胞増殖が完全に阻害されることがわかった。一方, PVCを仔牛血清を用いて37℃, 3日間抽出した時の溶出DEHP量は14ppmで, 細胞増殖阻害率は42%であったがプラズマ処理したPVCの場合は同様の抽出条件下ではそれぞれ2. 6ppmおよび10%でDEHP溶出量および細胞毒性も著しく軽減した。これらの事実はプラズマ処理技術が血液バッグ, 透析用回路に有効に応用されることを示唆する。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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