人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
Bicarbonate gradient透析とその効果
三田地 広和吉田 俊彦鈴木 弘之広瀬 正美宇津宮 寿彦小川 秋広高橋 源作稲垣 豊天野 泉
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 11 巻 6 号 p. 1257-1260

詳細
抄録
慢性透析患者で, 強度な代謝性アシドーシスを呈したり, また重症肝障害, 術後胃液喪失及び大量消化管出血を合併した場合, 代謝性アルカローシスを呈する事が多い。これらの疾患に対しては, 大量の輸液剤は使いにくい場合が多く, 我々はこれら疾患の治療に高・低重曹gradient透析を施行した。
高重曹gradient透析では, 透析前HCO3-濃度45~50mEq/lから経時的に低下させ, 透析終了時にはbaseのHCO3-度とした。一方低重曹透析では市販の重曹液を稀釈しHCO3-濃度15mEq/l, 3時間目から透析終了までは, 代謝性アルカローシスの過剰改善を防止する意味でHCO3-濃度20±3mEq/lとした。この低重曹gradient透析により, 透析前血液pH7.517, HCO3 31.5mEq/lから透析後血液pH7.456, HCO3- 27.67mEq/lと代謝性アルカローシスの改善を透析により速やかに行なうことができた。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top