抄録
生体肝の持つ代謝機能に着目し, これを装置の一部として組み込むハイブリッド型肝機能補助装置の開発に関する基礎的研究を行なった。実験にはラットの肝臓をコラゲナーゼにより分解して得た遊離肝細胞を使用した。まず回分培養実験を行ない, 培地に負荷したアンモニアの濃度及び肝細胞生存率を測定した。この実験により, 肝細胞の機能を最大に生かすことのできる最適培養条件を培地中溶存酸素分圧に注目し検討した。次に, 分画分子量2万のPMMAホローファイバーを用いた小型肝機能補助装置を試作し, 先に得られた最適条件下での灌流実験により装置の性能評価を行なった。さらに装置の生体への適用を目指した場合の問題点を, 3コンパートメントモデルに基づく代謝器システムのシミュレーションにより検討した。