人工臓器
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局所的fibrin形成促進材料の研究
―臨床応用への可能性―
杉立 彰夫阪本 泉高木 邦彦
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1982 年 11 巻 6 号 p. 958-961

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抄録
生体内のfibrinogenは, thrombin及び血液凝固因子のFactor XIII (FXIII)の作用でinsoluble fibrinに変化する. 局所的に, insoluble fiiorinの形成を促進させる材料を開発する目的で, 組織吸収性gelatin sponge, 並びに手術用縫合糸を夫々担体として, FXIII及びthrombinを固定化した。
固定化spongeは, その特性を利用して, 肝癌, 進行性乳癌などに対するtranscatheter embolizationの塞栓物質として臨床使用した. いずれの症例も, 目的とした血管の閉塞状態は良好で, その効果も満足できるものであった. 固定化縫合糸については, 局所的fibrin形成能を, in vivoの面から観察した. 即ち, 本材料をラットの腹壁筋層内に埋入し, 一定期間の後に, その抜糸に要する力, “Extraction-force”を測定すると共に, 局所のhydroxyproline量の測定を行った. いずれの結果も, 固定化材料周囲には多量のfibrin形成がおこり, 組織適合性が良好であることが証明された.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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