血漿交換療法の普及に伴い, その適応症例が増大しつつある。それに伴う補液としての血漿ならびに血漿製剤の不足さらに肝炎合併の問題がある。これら問題の解決策として, 選択的に病因的高分子物質を除去し, 他の必要成分を含む自家血漿を患者にもどす方法の開発研究および臨床応用が試みられて来ている。今回われわれは, 新に開発した修飾型ポリビニルアルコールゲルより成る吸着材(I-02), 血液ポンブ, 抗凝固剤としてのチトラート液注入および腎臓用濾過器(PAN-15)による除水用二連ポンプなどで構成される簡便な直接血液灌流方式の免疫複合体吸着システムを考案した。
犬を対象に本システムによるI-02カラムへの血液灌流を施行し, 生体適合性ならびに安全性について基礎的検討を行った。一般血液生化学的および凝固因子など血液性状に著変なく, 実験中およびその後, 実験犬はその血行動態も安定しており, 本血液灌流法は安全且簡便に施行された。