人工臓器
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小口径人工血管の開発に関する実験的研究
―組紐人工血管の試作―
古元 嘉昭河本 知二
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1983 年 12 巻 1 号 p. 211-214

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抄録

編織人工血管植込み後の病態生理上, Biological porosityの維持が重要であり, 編織組織上, バイアス概念の導入によりporosityは維持され, 薄層内被が保たれる。バイアス概念に合致するものとして組紐人工血管を最も均一な管が作れる条件を採用して製作した。アルカリ減量処理により編織組織間隙を拡げてporosityを設定した。雑種成犬を用い胸腔内で, 左鎖骨下動脈より腹腔動脈まで12~18cm, 端々吻合でバイパスを行った。植込み時の緊張状態ではporosityは最少で洩血は抑制され, 植込みが長期にわたると, 人工血管の短縮に伴いporosityは増加する。植込み前の伸縮では3.5~5mmの口径の変化があり, porosityは最高8,000ml/cm2/min, 120mmHgにおよぶ。減量率65%のものでは, 対照人工血管と同等の開存率(40%)をえた。開存率の向上には, 生体血管と人工血管のコンプライアンスを近似させる方向に, 繊維の太さ, 編織法, および減量処理法の検討を加えて, Screening testを行う必要がある。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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