1983 年 12 巻 1 号 p. 215-216
人工血管による大血管置換術を行う際には, 抗凝固剤を用いない新鮮血液によるpreclottingを必要とする。しかし, 上行大動脈置換術や, 弁付ConduitによるRastelli手術の様に体外循環を併用する場合には, ヘパリンを使用するため, 体外循環時間が長くなるとpreclottingの効果が減少し, 人工血管壁からのoozingによる出血で難渋することがある。我々は, フィブリノーゲン, トロンビン, カルシウムを用いて人工血管を処理し, これを血液によるpreclottingの代用として基礎実験及び臨床使用を試みた。