人工臓器
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拍動流補助循環の実験的研究
―100%, 50%, 20%補助率における血行動態と心筋代謝からの検討―
今関 隆雄金子 博山田 崇之浅野 献一
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1983 年 12 巻 1 号 p. 3-6

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抄録

補助循環の心不全に及ぼす効果と, 拍動流, 定常流のそれぞれの効果の違いを知る目的で, 12頭の雑種成犬を用いて以下の実験を行った。血液ポンプ, 空気駆動式駆動装置を用いて, 拍動流体外循環を行ない, 完全体外循80ml/kg送血流量で, ローラーポンプによる定常流と比較した。常温完全体外循環より直腸温32℃で大動脈を遮断し, 心停止液による30分間心停止を経て, 大動脈遮断を解除し, 肺動脈に送血量の0%, 50%, 80%を流すことによって, それぞれ100%, 50%, 20%流量補助率を設定し, 各々30分間ずつの補助循環を経て, 人工心肺よりweaningした。この結果, 段階的weaningという形をとったこの実験では, 心筋乳酸代謝の面で拍動流と定常流では20%補助に至ってはじめて有意差が生じた。拍動流に於ては終始DPTI/TTI≧1.2であり, 定常流では100%補助に於てのみ, DPTI/TTI≧1.2であったことから, 心筋代謝面での有意差が生じたと思われた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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