1983 年 12 巻 1 号 p. 320-322
本研究は人工臓器に使用されている金属材料の中で, 抗血栓性に優れた材料を開発するために, スパツタ蒸着法により作製されたチタン膜上に他の金属をスパツタ蒸着させ, 電気化学的効果と表面物理的な効果による抗血栓性に夢よぼす影響をin vitro法で評価した結果, つぎの事柄があきらかになつた。
材料の標準電極電位が増大すると, 抗血栓性がよくなり, チタンを基本材料として, 各種金属を組合わせると, チタン単独の場合よh抗血栓性がよくなる。つぎに材料の濡れに関して抗血栓性との相関について調べたが, 材料との接触角と抗血栓性については相関が得られなかつた。したがって表面物理的な効果よりも電気化学的な効果が血栓形成に対してより支配的なことがあきらかになつた。