抄録
ECMOの施行には, バイパス血流量の変化や静脈側血液性状の変化に関わらず人工肺流出側の血液ガス値を適正な値に保持する人工肺ガス交換制御が不可欠である。しかし, 単純なfeedback制御では系が不安定となり過剰あるいは過少な換気が起こり易い。ここでは速応性を保ちながらも安定な制御を行うためにfeedback制御とfeedforward制御を結合した新しい制御方式を考案した。制御を実現するために先ず使用する人工肺のガス交換特性をin vitroで同定した。次に, 制御法を計算機シミュレーションにより評価した。人工肺ガス交換制御は人工肺吹送ガスの酸素分圧, 炭酸ガス分圧を変化させ行ったが, そのために任意の組成を持った混合ガスを任意流量で供給できるマイコン内臓の混合ガス供給装置を試作した。制御法, 制御システムの評価を犬を用いたV-Aバイパス実験で行ったが, 本制御法は従来ゐfeedback法やfeedforward法に比べ安定性に優れ, その有効性が確認された。