人工臓器
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ECMOにおける血液学的検討
―シリコーンホローファイバー膜型肺の有用性―
森本 保坂井 隆草川 実
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1983 年 12 巻 1 号 p. 354-357

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抄録

ECMOにおいては, 膜型肺を主とした体外回路による血球の破壊, 血小板減少, 微小血栓形成, 出血傾向, 血漿蛋白の変性等, 血液損傷が大きな問題の一つである。教室ではシリコーンホローファイバー膜型肺を開発し, 1.2m2 SHMOと既に開発されている1.2m2シリコーンコイル型肺(MMO-6)の両者を用いて, 犬での29時間のECMOを行い, 血小板数, 溶血量を測定するとともに, 人工肺膜面および血小板, 赤血球の形態的変化を電顕的に観察し, 膜型肺の血球成分に及ぼす影響にっいて検討した。その結果SHMO群では, 溶血量, 血小板減少ともに著明に少なく, 赤血球および血小板の形態的変化も軽微であった。また膜面の変化にっいてもSHMOでは血球成分の付着はほとんど認めず抗血栓性に優れていた。膜型肺の材質および構造の違いにより血液成分への影響は大いに異なり, SHMOはECMOに適した優れた膜型肺である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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