ECMOは膜型肺の開発・発展に伴い, 今日では本邦においても100余例の症例が経験されている。しかし, その定義も不明瞭であり, 適応基準は未だ確定されていない。そこで我々の過去約20年の経験から若干の考察を加え, 自験例11症例から得られたECMOの合併症,問題点について検討した。また, 膜型肺を用いたV-Aバイパス(VAB)・IABP併用療法による臨床例の1例を提示し, 強力な呼吸循環補助効果が得られVABから離脱できたことより, 呼吸循環補助としてのECMOも再評価されることを提言した。そこで, 急性心肺不全モデル犬での実験結果に基づき, 呼吸補助と循環補助では環流方式・量に違いがあることを示した。また, IABPとの併用療法の血液ガス, 血行動態に及ぼす効果にも言及した。多大な労力を必要とするECMOも, 適応疾患の病態を十分理解した上で適切に施行されゝば, 必ず成功率も向上し, 臨床治療上有効な補助手段として広く認識されるものと信じる。