合成抗トロンビン薬MD805の透析用抗凝固薬としての有用性をヘパリンとの比較において評価した。12週間MD805単独による透析を行った。中空糸血栓はヘパリンよりMD805でより強くみられた。ヘパリン透析は著明な遊離脂肪酸の増加と中性脂肪の減少が認められたが, MD805では有意の変動は認められなかった。またヘパリン透析ではPaO2の低下が認められたが, MD805透析では認められなかった。MD805投与期間中アンチトロンビンIIIが軽度ではあるが有意に増加した。以上よりMD805はヘパリンを比較し, 種々のすぐれた面をもっており, 長期透析用抗凝固薬をして有用と思われた。