1983 年 12 巻 1 号 p. 92-95
雑種成犬を用い, dialysis-induced hypoxemiaの原因について検討を試みた。透析開始前, 開始後15分, 30分, 60分, 90分, 120分, 180分に肺動脈, 左房, 静脈側回路より採血しそれぞれについて白血球数, 血小板数, PO2,PCO2を測定した。同様のタイミングで継時的に肺生検を行い, 組織学的検討を行った。また肺動脈圧, 左房圧, 心拍出量を連続的に測定し, 総肺血管抵抗, シャント率を計算した。透析開始後, 白血球数はすべての例で減少した。透析によりPaO2の低下する群と低下しない群とに分れ, 前者においては総肺血管抵抗とシャント率の増加が認められ, 後者においては認められなかった。またpulmonary leukostasis, microembolizationの所見は組織学的に認められなかった。以上よりdialysis-induced hypoxemiaの原因については, 何らかの機序によるpulmonary vasocontstrictionが関与しているのではないかと考えられる。