人工臓器
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臨床用補助人工心臓システムの開発
―ポンプの改良と評価―
高野 久輝妙中 義之松田 武久梅津 光生中村 孝夫林 紘三郎阿久津 哲造曲直部 寿夫
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1983 年 12 巻 2 号 p. 390-394

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抄録
私達は過去に行った動物実験成績を分析し, 臨床的に安全に使用し得る補助人工心臓システム用ポンプを開発し得た。ポンプは容量70mlで, 国産segmented Polyether polyurethane製, diaphragm型, 空気圧駆動方式で, 重症心不全患者が必要とする心拍出量を100%代行し得るよう, 最大拍出量7l/minである。この新しいポンプを成山羊に適用して評価を行った。本ポンプは抗凝血療法を行わなくても, 初期に2l/minの流量を維持すれば, 後刻流量が減少しても血栓形成の起り難い事を見出した。この抗血栓性獲得起序は, 血漿由来の蛋白がポリウレタンの表面に沈着し, 表面がbiolizeされる事によると考えている。従って心不全からの回復に際し, 比較的安全に流量を減じ得ると思われる。又抗凝血療法を必要としないので, 術直後の適用においても出血傾向の増悪を見ないと考える。現在までの成績では, 少なくとも約1ケ月は血栓形成を見ないので, 一時的使用として臨床的に安全に適用し得ると考える。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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