人工臓器
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12 巻, 2 号
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  • 田辺 達三
    1983 年 12 巻 2 号 p. 377
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 太田 和夫
    1983 年 12 巻 2 号 p. 379-381
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 宮村 一男, 新保 秀人, 那須 通寛, 庄村 赤裸, 矢田 公, 草川 実
    1983 年 12 巻 2 号 p. 382-385
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれの開発した, ソレノイド駆動による左心補助人工心臓の作動実験を, 雑種成犬を用いて行なった。第5肋間で開胸し, 左房脱血・下行大動脈送血方式で補助心臓を装着し, 駆動装置は支持台を用いて胸壁上に置いた。
    補助心臓作動により左室圧の軽度の低下を認めた。バイパス流量は, 2:1同期駆動時, 最高2.3L/minを得た。左房圧変化に関係なく, バイパス流量がほぼ一定となる例があり, 左房内脱血用カニューレの位置, 流入抵抗, 装置の設置方法, 不全心の作製等を考慮する必要がある。同期駆動に際し, 補助心臓駆出末期と自己心拍出が重なることがあり, より短時間に駆出が終わることができるように, 装置の高性能化が必要である。
  • 藤正 巌, 井街 宏, 宮本 晃, 渥美 和彦
    1983 年 12 巻 2 号 p. 386-389
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    補助心臓の臨床例は100例を越え, 次第にその適用を拡大しつつある。本報告はそのような状況下で開発された臨床用補助心臓のトータル・システムについて, 開発の概念, システムの仕様について述べたものである。本システムは空気駆動方式を採用しており, 動力源内蔵, 移動可能, 小型, 無騒音, 高耐久性, 高信頼性を基本設計概念としており, さらに, 3台のマイクロコンピュータの登載によるプログラム可能性と全ディジタル処理を採用し, 種々の応用に対応できることを基本概念としている。血液ポンプは十分に評価試験の終了したサック型を用い, 種々の心拍出量に対応できる心室容積を用意していて, PVCポンプ内面をCardio thaneでコーティングしている。システムは駆動装置と血液ポンプを開発するのみでなく, その周辺をとりまく種々の必要な部品や装置をトータルに開発することを目標とし, 全システムは動物実験などによって十分な性能評価がなされた。
  • ―ポンプの改良と評価―
    高野 久輝, 妙中 義之, 松田 武久, 梅津 光生, 中村 孝夫, 林 紘三郎, 阿久津 哲造, 曲直部 寿夫
    1983 年 12 巻 2 号 p. 390-394
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    私達は過去に行った動物実験成績を分析し, 臨床的に安全に使用し得る補助人工心臓システム用ポンプを開発し得た。ポンプは容量70mlで, 国産segmented Polyether polyurethane製, diaphragm型, 空気圧駆動方式で, 重症心不全患者が必要とする心拍出量を100%代行し得るよう, 最大拍出量7l/minである。この新しいポンプを成山羊に適用して評価を行った。本ポンプは抗凝血療法を行わなくても, 初期に2l/minの流量を維持すれば, 後刻流量が減少しても血栓形成の起り難い事を見出した。この抗血栓性獲得起序は, 血漿由来の蛋白がポリウレタンの表面に沈着し, 表面がbiolizeされる事によると考えている。従って心不全からの回復に際し, 比較的安全に流量を減じ得ると思われる。又抗凝血療法を必要としないので, 術直後の適用においても出血傾向の増悪を見ないと考える。現在までの成績では, 少なくとも約1ケ月は血栓形成を見ないので, 一時的使用として臨床的に安全に適用し得ると考える。
  • 妙中 義之, 松田 武久, 高野 久輝, 梅津 光生, 林 紘三郎, 中村 孝夫, 阿久津 哲造
    1983 年 12 巻 2 号 p. 395-399
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ヤギ5頭を用いて, 補助人工心臓装着後の血液凝固系の変化を検討した。人工心臓は血液接触面をセグメント化ポリウレタン(東洋紡績製TM-3)でコーティングしたものを用いた。抗凝血療法は術中にヘパリン投与を行なったのみで, 術後は一切行なわなかった。フィブリノーゲン量とプレカリクレイン量は術後1~3日目に最低となった。プロトロンビン時間と部分トロンボプラスチン時間は2~5日目をピークとして延長を示した。アンチトロンビンIII量は大きな変化を示さなかった。FDPは5~7日目をピークとして出現した。フィブリノーゲン量を除く各パラメーターは10日目前後に術前の状態に回復した。血小板数は術直後に軽度低下し, 以後reboundして10~25日目に術前値に復した。血小板凝集能は, 術直後より低下し, 徐々に回復するが, 慢性期にも術前に比べて低値を示した。
  • 桜井 淳一, 前田 肇, 伊藤 翼, 堀 原一
    1983 年 12 巻 2 号 p. 400-403
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    比較的容易に行える右心補助循環法を開発する目的で, 独自に考案したトリプルバルーンカテーテルを作成し, その補助効果について検討した。
    雑種成犬を用いて三尖弁を閉鎖し, 弁付グラフトにて右心房―肺動脈吻合を行い, 肺動脈を起始部で遮断して, 右心室バイパスモデルを作成した。トリプルバルーンカテーテルを経静脈性に上大静脈―右心房―下大静脈内に留置し, AVCO model 10を用いて駆動させるIAtBP (Intraatrial Triple Balloon Pumping)を施行した。
    IAtBPにより, 平均右心房圧は28%低下し, グラフト流量は40%, 心拍出量は27%増加した。平均肺動脈圧, 平均大動脈圧はそれぞれ28%, 11%増加し, 右心機能補助効果の得られることが分かった。
    IAtBPはIABPと同程度の簡便さで施行でき, 右心機能の補助手段の一つとして有用であると思われる。
  • 杉田 洋一, 久米 弘洋, 丸山 浩一, 中村 譲, 江本 秀斗, 森田 紀代造, 鈴木 和彦, 新井 達太
    1983 年 12 巻 2 号 p. 404-407
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術後のLOSの際にみられるhypoxe iaの原因については, まだ解明されない点もあるが, その主因は肺間質浮腫であると言われている。この肺間質浮腫が高度となり肺水腫が出現するとその予後は不良である。IABPの肺循環に対する効果はLOSによって減少した血漿膠質浸透圧―肺動脈楔入圧較差, (COP-PAWP較差)を正常値に回復し, Starlingの法則を介して, 肺末梢組織での体液水分バランスを正常化し, その結果肺間質浮腫が改善すると考えられる。又, A-aDO2, COP-PAWA較差及び肺間質水分量(EVLW)は肺間質浮腫の程度を知る良い指標となり, 特に縦軸にA-aDO2, 横軸にCOP-PAWP較差をとった新しい肺機能図はIABPによる肺循環の改善を良く反映し, IABP患者の呼吸管理の良い指標となる。
  • 草川 実
    1983 年 12 巻 2 号 p. 408
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―経口吸着剤との併用―
    渡辺 俊文, 屋ケ田 和彦, 内間 高夫, 山内 潤, 草場 亮輔, 大坪 修
    1983 年 12 巻 2 号 p. 409-412
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体内埋込型人工腎臓の実現までには, 生体適合性, 抗血栓性, 濾過分泌再吸収機能の小型化等, 多くの問題が山積されている。
    我々は, 濾過, 再吸収機能の小型化において, 濾過機能をヘモフィルターに, 再吸収機能を腸管に求め, 動物実験を行ってきた。今回は, 血液濾過液腸内注入方式と経口吸着剤を組み合わせた実験を行い, 良好な結果が得られた。腎不全犬の十二指腸ヘネラトンカテーテルを挿入し, そこから, アンモニア吸着剤, 活性炭, 酸化ジルコニル等の懸濁液を注入し, ヘモフィルターからの濾過液も連続的に注入した。 その結果, 約200時間にわたり, BUN100mg/dl, クレアチニン4mg/dl以下の安定した状態を保つことができた。本方法は, 消化液中の尿毒物質の吸着, 腸粘膜を介しての血液吸着, および, 血液濾過液の浄化という3重の効果を期待できるものである。
  • 渡辺 俊文, 野村 雅夫, 内間 高夫, 屋ケ田 和彦, 大坪 修, 高井 信治, 高橋 浩, 田中 満, 小林 伸, 前田 敏勝, 山下 ...
    1983 年 12 巻 2 号 p. 413-416
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年, 透析技術の進歩により, 長期血液透析患者の生存率も著しく向上した。しかし, 未だ透析時間による時間的制約のため社会復帰への問題が残されている。この問題を解決するため, 透析装置の小型化を目標に吸着剤による透析液再生式人工腎臓の開発を行ってきた。今回透析液中のクレアチニン処理を目的に石炭由来のMacro polus系活性炭を開発, その吸着性能を検討した結果, in vitro試験で従来の活性炭より優れた吸着性能を示し, Vitamine B12, 各種アミノ酸に対しても良好な吸着性能が得られた。in vivo試験において腎不全犬を用い, 透析液再生式人工腎臓を施行した結果, 6時間の透析により腎不全犬の血清Crレベルを50%以下に減少させることが出来, また透析液側活性炭カラム出口においてCrレベルを0.5mg/dl以下に維持することが出来た。これより, 新しいMacro polus系活性炭によるCr除去が十分に行われるものと思われた。
  • 金井 福栄, 高浜 龍彦, 飯塚 一郎, 田中 洋一, 矢部 清寿, 平石 守, 山崎 善弥, 丸山 雄二, 和田 達雄
    1983 年 12 巻 2 号 p. 417-420
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    経口薬剤による腎不全蓄積代謝産物の除去の試みは臨床的にもある程度の効果をあげている. 我々は雑種成犬を用い, 腎動脈二次分枝結紮法により腎実質を1/8とした慢性腎不全モデルを作製, これに経口吸着剤(AST-120)を投与してその生化学的データや腎機能への影響を調べた. その結果, 経口吸着剤投与期間中, 血清クレアチニン, 尿素窒素レベルの低下~上昇抑制と, クレアチニンクリアランス, PSP排泄能の改善~維持傾向を認め, 生存率の著明な改善を得た. また高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた血清パターン分析では慢性腎不全患者に類似した異常ピークをみとめ, 経口吸着剤投与中はその出現が抑制される傾向にあった. 上記腎濃能の改善は, 原因として, この異常ピークに存在する腎不全時の異常著積または異常産生トキシンの経口吸着剤による除去が考えられた.
  • 田村 克彦, 児島 弘臣, 森河 浄, 衣笠 えり子, 関口 孝, 中山 文義, 高橋 健, 秋沢 忠男, 佐藤 昌志, 北岡 建樹, 出浦 ...
    1983 年 12 巻 2 号 p. 421-424
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれは高リン(P)血症の治療素材として酸化ジルコニウム(酸化Zr)の性能について報告した。P吸着能には優れているが同時にCa及びPHに影響を与える可能性のあることが判明したので, 今回新たにカルシウム・ジルコニウム・カーボネイト(Ca-Zr-carb.)マイクロカプセルを開発し, 酸化Zrと比較した。P吸着能はマイクロカプセル1g当り約4mgと両Zr化合物で差はなかったが, 酸化ZrでみられたCa吸着はCa-Zr-carbで抑制され, わずかながらCa放出も認められた。carbonate放出は今回の実験では腎不全のacidosis進行を阻止するには不十分であったが今後P吸着量が増せば, 酸塩基平衡改善効果も期待できる。Zrと活性炭併用下のP, クレアチニン吸着能は各々単独の場合と差はみられず, 両吸着剤間の干渉作用はみられなかった。ZrマイクロカプセルからのZr溶出は1週間のincubationでも認められなかった。以上の成績よりCa-Zr-carb. を用いた直接血液灌流療法は他の吸着剤の併用も可能で, 腎不全の高P血症治療手段として今後の臨床応用が期待される。
  • 山下 明泰, 吉本 達雄, 安藤 和弘, 善本 勝男, 日台 英雄, 酒井 糾, 酒井 清孝
    1983 年 12 巻 2 号 p. 425-428
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液浄化療法において, 溶質除去能を支配する外的因子は人工腎のクリアランス(CL)のみであるが, 生体における溶質除去効果は, 除水量(Δv), 体液量(V), 細胞膜クリアランス(KC)および細胞内外の体積比(VI:VE)で決定される。本報ではCL, Δv, Vに実測あるいは推算値を用いて, 臨床データと最も良く照合するKCおよび(VI:VE)を求めた(尿素, クレアチニン, 尿酸)。HFを利用して行なった今回のシミュレーションでは, 既報に比し高いKC値が得られ, その生体内挙動はこれまで言われてきたプール性よりも, 1-プールに近い傾向が見られた。また(VI:VE)値は尿素, クレアチニンでは約7:3となったが, 尿酸では大きく異なり, 血中濃度の経時変化が(VI:VE)の影響を受け異いことが示唆された。また, 細胞外液量と臨床症状との間に相関があることが予想された。
  • 大山 朝賢, D. J. MAGILLIGAN, 河内 寛治, 康 重雄, 北村 惣一郎
    1983 年 12 巻 2 号 p. 429-432
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心臓手術における体外循環の際、腎機能の悪い症例や緊急手術時に肺水分量の増加せる症例を想定し、体外循環(以下CPB)中のUltrafiltration (以下UF)の効果について、成犬を用い実験的に検討した。成犬8匹をコントロール群(I群)とUF使用群(II群)に分け2時間のCPBを行った。前者は心拍動のままで左房よりネラトンによる左室Ventとし、後者はCardioplegiaやIce-slushを用い、90分の心停止を行った。その間CPB送血流量を100cc/kg/min以上になるようにした。CPB送血回路とReservoir間に回路を1つ余分に設け、UF内の血液は毎分200~300mlとした。肺血管外水分量(EVLW)の測定は、Lung water computer (Edwards lab.)を用い、CPB使用前後において行った。II群のCPB後の血行動態及びEVLWは、I群に比較し、明らかに良好な成績を示した。直接法によるEVLWは6匹に得られたが、ComputerによるEVLWとよい相関を示した。
  • 太田 秀男
    1983 年 12 巻 2 号 p. 433
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 白石 義定, 村田 真司, 西脇 登, 村口 和彦, 千葉 幸夫, 山里 有男, 松田 捷彦, 南 一明, 小西 裕, 龍田 憲和, 日笠 ...
    1983 年 12 巻 2 号 p. 434-440
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環時の溶血は術後の腎肺合併症や出血傾向の一因であり、心臓外科領域の重要課題の1つである。過去数年間の体外循環症例を対象に術中の血漿遊離ヘモグロビンの推移を検討した結果、現在でもかなり溶血が認められ、過去と比較して軽減しているとは必ずしも言えないことが判明した。人工心肺装置の改良や溶血防止剤の開発等が溶血軽減に寄与して来たことは周知の事実である。にも拘ず臨床の場で溶血が軽減しない理由は明確でないが、その1つとして、強い陰圧を用いた吸引操作が推測される。これは、術者や体外循環担当者の配慮次第でかなり防止出来ることであり、また、術前術中のハプトグロビンの投与、手術手技の工夫なども症例によっては充分考慮されるべきであり、体外循環技術の探究が望まれる。
  • 竹田 治土, 松倉 裕美, 川上 敏晃, 田辺 達三
    1983 年 12 巻 2 号 p. 441-444
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ホロファイバー膜型肺と気泡型肺とを用い2時間の実験的体外循環を行い、循環動態、血小板に与える影響を比較検討した。ホロファイバー膜型肺は酸素血流量比からみて気泡型肺の4~5倍の酸素化能を有し、溶血量も0.04mg/Kg/min. と極めて少なかった。one pump systemにても充分安定した循環状態を維持出来、灌流量も80~90ml/Kg出す事が出来、従来のtwo pump systemは不要と思われた。
    ホロファイバー肺を用いると体外循環中すでに血小板数の増加がみられ又形態学的にみて機能を有する血小板の循環血中への早期復帰があり、本肺の血小板保護作用が考えられた。
  • 村田 修一, 岩 喬, 目片 強司, 堀田 素志, 松浦 弘毅
    1983 年 12 巻 2 号 p. 445-448
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環時の回路内に発生する微小気泡(micro airbubble)を検出するために、He-Neレーザーを用い微小気泡検出装置を作成した。測定原理は微小気泡にレーザー光が照射された際に起る透過光量の変化を見るものである。Ht値20, 25, 30%にした静止状態で、微小気泡によるレーザー光量の変化を見ると気泡径が50~200μm前後では透過光量の減少を示すupward spike波が見られた。気泡径が増大するとともに透過光量の減少は低下し、spike波の波高値は小さくなる。200~250μm前後では、upward-downward, upward-downward-upward, downward-upward spike波として、又250μm以上ではdownward spike波として観察された。実験循環回路でも、気泡をフラッシュさせたり、人工肺より発生させた微小気泡でも、静止状態で見られるようなspike波が見られた。以上、体外循環中の回路内に発生する微小気泡をレーザー光の透過光量の変化により測定し得ることが確認された。
  • 辻 隆之, 田村 俊世, 戸川 達男, 小山 雄次, 金子 秀実, 成味 純, 須磨 幸蔵
    1983 年 12 巻 2 号 p. 449-452
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    水温を10~35℃まで5℃ごとに変化させ, ローラポンプで送血量を毎水温ごとに, 6段階(0.52~2.92L/min)に変化させ, ポリプロピレンホローファイバ人工肺(Capiox II 16)を灌流し, 本人工肺前後の圧力損失(mmHg)と流量(L/min)の関係を検討した。ファイバ中のずり速度は760~4500/S, Reは5~25と推定された。各水温における圧力損失(Y)と流量(X)の関係は良好な直線(Y=A+BX, r>0.99)を示し, 各水温で既知の水粘度(η, cP)とBの関係はよく対応した(B=-3.7+40.0η, r=0.99)。またハーゲンポワゼイユの式から推定された水粘度(η*)も, よく対応した(η*=0.26+1.32η, r=0.99)。
    牛血, ヒト血液についても同様の関係を認めた。したがって, 体外循環中に本人工肺前後の圧力損失と流量を計測すれば, その時の血液粘度が推定できると考えられた。
  • 高山 鉄郎, 松本 博志, 柳生 邦良, 吉竹 毅, 水野 明, 浅野 献一
    1983 年 12 巻 2 号 p. 453-456
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    抗血小板薬(Dipyridamole 300mg/日, Ticlopidine 300mg/日, 600mg/日)の術前投与による体外循環中の血小板機能と人工肺表面での血栓形成への影響を検討した。血小板機能はDipyridamole 300mg, Ticlopidine 300mg, 600mgの順に体外循環による低下が抑制され, 血小板粒度分布の変化, 血小板凝集塊の生成も同様の傾向で抑制された。特にTiclopidine 600mgでの変化が著明であった。体外循環中に血小板機能を適度に抑制しておくことで血小板の凝集消費, 機能低下, 微小塞栓の発生を防止することができる。但しDipyridamoleは血管拡張作用による副作用が多くまたTiclopidineは効果は確実であるが術中の止血にやや難渋することがあり, 至適投与方法, 投与量, 期間等の検討が必要である。
  • 須磨 幸蔵
    1983 年 12 巻 2 号 p. 457
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 辻 隆之, 田村 俊世, 戸川 達男, 金子 秀実, 成味 純, 須磨 幸蔵
    1983 年 12 巻 2 号 p. 458-461
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    今回著者らばホローファイバ型人工臓器を用い, 血液非接触型の血液ガス, pH計測システムを検討した。人工肺とリザーバからなる回路にローラポンプで人工血液(FC 43)および牛血を保温(37℃)し, 循環させた。ガスモニターとして多孔質ポリプロピレンホローファイバ人工肺(0.5m2, 孔裂隙650Å)を, pHモニターとして多孔質再生セルロースホローファイバ人工腎(0.8m2, 孔裂隙30Å)を用い, おのおの回路に直列に連結した。通常とは逆に, ガス流路および透析液流路に血液を流し, ファイバ内を人工肺は空気を, 人工腎は生理食塩水を, おのおの閉鎖回路にして循環させた。血液回路内のQ2のみを変化させてモニターガスのPO2, PCO2を, また回路内のpHを変化させてモニター液のpHを経時的に計測した。その結果, モニターホローファイバ内外の血液ガス, pHはよく近似した。本法によれば体外循環中の血液組成を血液と非接触で連続的に監視できると考えられた。
  • ―透析による血中CO2除去特性とpost hypercapnic alkalosis管理への応用について―
    松延 政一, 清水 慶彦, 寺松 孝, 西尾 利二, 外村 聖一, 吉田 文武, 中谷 史郎, 猪飼 康雄
    1983 年 12 巻 2 号 p. 462-464
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アセラート血液透析による血中CO2除去の特性を検討した。この方法によるCO2除去効率は血流量200ml/分程度で2.62±0.21mM/分であり、その90%はHCO-3として排除された。CO2とHCO-3との排除比は膜を適当に選べば1:20であり、Henderson-Hasselbalch平衝式を変化させないため血液pHに対する影響は少なかった。この方法は慢性呼吸不全管理で陥りやすいpost hypercapnic alkalosis管理にきわめて効果的であり今後の補助方法として有力と考えられた。又われわれが開発したリサイクル方式について言及した。
  • ―組織水分量の変化について
    大谷 正勝, 広瀬 一, 松田 暉, 中埜 粛, 賀来 克彦, 白倉 良太, 安達 盛次, 高 義昭, 田村 謙二, 川島 康生
    1983 年 12 巻 2 号 p. 465-468
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    希釈体外循環中に限外濾過(U-F)を用い、灌流血の膠質浸透(COP)を上昇させ、小腸組織水分量に与える影響を実験的に検討した。雑種成犬8頭に5時間の希釈体外循環を行った。体外循環(CPB)中に生じる灌流血液量の減少には乳酸加リンゲル液を補充した。5頭(I群)において、CPB 2時間目から4時間目までU-Fを施行し、灌流血液量の減少には、血液を補充した。他の3頭(II群)にはU-Fを行わなかった。CPB開始後、血清COPは著しく低下し、血清と胸管リンパ液のCOP較差は減少した。小腸組織水分量は2時間目にはI、II群とも増加した。CPB 2時間目以降は、I群で血清COPの上昇が得られ、血清とリンパ液のCOP較差は拡大した。4時間目には、その較差は最大となり、組織水分量は減少した。一方、II群では血清COPは低値のままで、4時間目の組織水分量は増加した、本実験に用いた限外濾過方法が、血液希釈のため生じた組織浮腫を減少させる可能性を示唆した。
  • 小田 桐重遠, 川原 英之, 石倉 義弥, 吉松 博, 村上 基博
    1983 年 12 巻 2 号 p. 469-472
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤、肝硬変を伴った症例の人工弁置換を前提として、雑種成犬を用い、肝圧迫法にて作製した門脈圧亢進犬における拍動流体外循環の肝血流に対する効果を検討した。肝圧迫法にて門脈圧を上昇させると漸時血圧の低下を認め、同時に肝血流量、門脈血流量の低下を認めた。門脈圧が30mmHg以上はなるとこの傾向は著明となつた。IABP単独使用時では平均大動脈圧の上昇、左室圧の下降、上行大動脈血流量の増加が認められたが肝動脈血流量は作動中減少する傾向を示した。これに反し、部分バイパス+PAD併用においては肝動脈血流量は増加した。完全バイパス+PAD併用では脈圧としては著明な効果が得られたが肝動脈平均血流量としては著明な効果は得られなかつた。以上の結果より、PAD併用体外循環にて、食道静脈瘤を伴った大動脈弁閉鎖不全症に対し、大動脈弁置換に成功したので併せて報告する。
  • 渡辺 祝安, 佐々木 孝, 大堀 克己, 安倍 十三夫, 安達 博昭, 樫野 隆二, 小松 作蔵
    1983 年 12 巻 2 号 p. 473-476
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    実験的に作製した左室肥大犬を用い、拍動流体外循環の肥大心筋に対する効果を左室心外膜下および心内膜下両筋層のエネルギー代謝産物を経時的に定量することにより評価した。すなわち、左室肥大犬20頭を定常流群および拍動流群、各10頭ずつ2群に分け、電気的心室細動下に常温でポンプ送血量80ml/kg/minとし3時間の完全体外循環(以下ECC)を行った。心筋内ATP含量は、両群ともECC時間が経過するにつれ漸減したが、心内膜下筋層においては拍動流群が定常流群に比較し有意(p<0.01)に高値を示した。また、定常流群では心内膜下筋層において心外膜下筋層と比較し有意(p<0.02)に低値を示した。心筋内乳酸含量は、定常流群が、心内膜下筋層において、拍動流群に比較し有意(p<0.05)に高値を示した。したがって、心筋のエネルギー代謝面からも拍動流は定常流に比較し、肥大心筋の特に心内膜下筋層の安定した血流維持に有効であることが推察された。
  • 川上 敏晃
    1983 年 12 巻 2 号 p. 477
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 安倍 晋太郎, 門前 孝志, 高良 真一, 岩田 光夫, 高橋 晃
    1983 年 12 巻 2 号 p. 478-481
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環による全身ハイパーサーミア(HT)は、近年進行癌に対する新しい療法として臨床で注目を集めている。今回我々は、ステンレスパイプからなる高性能な多管式熱交換器(有効面積0.06m2:HE)を用いて、直腸温で41.5-43.0℃連続4-10時間のHTを健康なイヌで行ったので報告する。体外循環は、全身麻酔下で一側の大腿動静脈間にAVバイパスを形成して行い、循環中20。30ml/kg/minの血流量を維持した。生体の温度は、血液加温温度を手動で変化させることにより±0.1℃の精度で調節した。直腸温を380℃から41.5℃に上げるのに要した時間は、高血液加温(46℃)で約30分, 低血液加温(43℃)で約45分だつた。高血液加温は著しい血小板減少を招来したが、低血液加温では軽度であつた。高性能左HEを使用し、低血液加温で行うことにより、侵襲の少ない安定したHTが可能である。
  • 浜辺 茂樹, 出月 康夫, 浜口 実, 守屋 仁布, 小森山 広幸, 長嶋 隆, 枇杷 田泰利, 渡辺 弘, 与那覇 朝英, 苑田 毅, 丹 ...
    1983 年 12 巻 2 号 p. 482-485
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年すぐれた利尿剤等の治療により腹水症のコントロールは従前に比し容易になってきているとはいえ治療に難渋する症例にも多々遭遇する。今回, 我々は血漿分離膜(東レーPLASMAX)を用い膜分離法により, 腹水を処理, 再静注法を行った。対象とした患者は良性腹水症2名, 悪性腹水症5名であり, 循環中のトラブルは何ら発生せず容易に施行可能であった。腹水処理前後の腹水の細胞診の結果, 除癌細胞が可能であることが判明した。処理前後の腹水の生化学的データには何ら変化をみとめず又電解質についても同様であった。副作用は, 腹水再静注後, 一過性の発熱をみた症例もあったが, 消化管出血等の重篤な副作用の出現はみなかった。本分離膜を用いた腹水処理, 再静注法は, 遠心分離法に比し容易に施行可能であり, またかつ除癌細胞も可能であり, 難治性腹水症治療の有効な手段であると思われる。
  • 清水 慶彦, 田村 康一, 加藤 弘文, 寺松 孝, 日野 常稔
    1983 年 12 巻 2 号 p. 486-489
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    meshによる人工気管に於て, meshのpore sizeが創傷治癒に及ぼす影響について検討した。pore sizeが直径120, 260, 760, 1,570μのpolyethylene meshを用いて, 犬の頸部気管に窓状置換を行って治癒状態を観察した。その結果260μのものが良好な結果を示した。市販の医用meshでは胸壁, 腹壁用のfine Marlex meshがpore size約300μで良好な成績を示した。また, これにteflon yarnを用いて支持ringを入れ, 生体気管に近い支持力を与えて管状置換を行ったところ, 良好な創傷治癒と内腔の保持が得られた。
  • 辻川 肇, 中島 進, 前田 富與, 表 由晴, 久保 良彦, 鮫島 夏樹
    1983 年 12 巻 2 号 p. 490-493
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工臓器と生体を利用したhybrid型人工臓器を目標として、Hollow fiberを人工毛細管にみたてたHollow fiber型環流型細胞培養装置を試作検討し、今後の発展のため基礎的検討を行った。その結果collagen coating、positive chargeなどの方法により、至適extracellular matrixについての方向を得、更に至適酸素濃度及びATPなどの細胞機能に与える著しい影響をみることができた。現在こうした諸見に基づく改良型を試作検討中である。
  • 窪田 倭
    1983 年 12 巻 2 号 p. 494
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 板岡 俊成, 和田 寿郎, 毛井 純一, 笹生 正人, 山口 明満, 笠置 康, 長柄 英男, 横山 正義
    1983 年 12 巻 2 号 p. 495-502
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    撰択的冠動脈造影は虚血性心疾患等の心疾患の診断に有用な検査法であるが, 従来より検査中の心機能低下および不整脈などが報告され, 反面で危険を含む検査でもある。
    我々は, これらの原因として撰択的冠動脈造影中の冠血流が一時的に減少し造影領域心筋の虚血性変化を考え酸素供授能を有す造影剤を開発してきた。今回, FDAを混入した10% PFC濃度のPFC含有造影剤を作成し酸素付加を行って虚血性心疾患16症例にて撰択的冠動脈造影を行った。対照として従来使用造影剤を冠動脈造影に使用し心電図上の変化を比較検討した。PFCを有さない従来使用造影剤群では, 撰択的左冠動脈造影時のΣST変化(5秒値)が-1.33±0.36mmとなり, PFC含有造影剤群に比べ, 有意に虚血性変化が強かった。従来造影剤にPFCを混入し酸素付加を行い酸素供授能を有す造影剤を使用することにより, より安全に撰択的冠動脈造影を行い得た。
  • 小崎 正己, 宮本 克彦, 玉置 勲, 桜井 悦夫, 渡久地 政夫, 杉江 三郎, 高橋 雅俊, 盧 健基, 北川 元信
    1983 年 12 巻 2 号 p. 503-506
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    腎の低温灌流保存法は、単純冷却保存法と共に腎移植の臨床に広く用いられているが、本法による腎の安全保存限界は、臨床的には72時間であるとされている。そしてさらに長時間の保存を司能にするために、現在種々の面から検討されているが、今回われわれは、flow modeの面から、拍動流と非拍動流のいずれが優れているかをイヌ腎の48時間保存について検討した結果、灌流保存腎の機能は、拍動流群、非拍動流群とも極めて良好で、両者間に有意の差を認めなかった。しかし、保存腎の自家移植後の組織学的変化は、拍動流群では糸球体のCapillary loopに沿って硝子様物質が沈着し、segmentalな壊死性変化や血管のhyalinosis的な変化を認め、また小葉間動脈の血管壁筋層に硝子様変性を認めたが、非拍動流群ではこれらの所見は認められず、非拍動流の方が拍動流に比して腎組織障害が少ないことを見出した。
  • 稲垣 豊, 山下 喜弘, 大島 伸一, 藤田 民夫
    1983 年 12 巻 2 号 p. 507-510
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    double-balloon catheterを用いた選択的死体内腎冷却法は, 腎の冷却効率が良く, 心停止後のwarm ischemiaを防ぐすぐれた方法である。しかし唯一の難点は滅菌かつ0℃付近まで冷却した灌流液を大量に必要とする事である。腎の冷却効率を下げる事なく動脈内送液以外の方法でかつ滅菌してない液も使用出来る死体腎補助冷却法として持続胃冷却の効果を検討した。仰臥位では左腎の方が右腎よりも冷却された。しかし右下側臥位ではこの左右差もかなり改善され, 30ml/kg/minの灌流速度で左右腎とも15-25℃まで50ml/kg/minで10-15℃まで冷却された。これらのdataをもとに臨床応用の為に水道水が使用出来る2 lumen, single balloon catheterおよび透析液を使用する3-lumen, single balloon catheterを試作した。これらのcatheterを用いる事により, 動脈内へ送液する灌流液を少なくする事が出来るので腎の細胞内浮腫の防止に期待出来ると予想された。
  • 稲垣 豊, 大島 伸一, 藤田 民夫
    1983 年 12 巻 2 号 p. 511-516
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    脳死の状態で腎を摘出する事が未だ許されていない我が国の死体腎移植においては, 心停止後のwarm ischemiaを防ぐ事は重要な問題であるが, double-balloon catheter (DBC)により選択的に腎灌流を行うのも1つの方法である。我々は今回DBCによる死体内腎灌流をより安全に行う為にballoon間の圧を測定するlumenを増やした4-lumen, DBC (4L-DBC)と再循環灌流法における灌流液の温度を測定する為に温度sensorを留置するlumenを増やした5-lumen, DBC (5L-DBC)を試作した。これらのcatheterを用いる事により灌流中のballoon問の圧が連続モニター出来るので, 安全に選択的死体腎灌流が施行出来る様になった。又, 腎動脈に流入する灌流液の温度を連続モニター出来る様になったので, 再循環方式における冷却装置の機能も評価出来る様になった。血液希釈体外循環は時間とともに溶血が進行するので血球を含む遷流液は問題があると思われた。
  • 稲垣 豊, 露木 幹人, 山本 富男, 杉山 敏, 池田 隆, 笠原 正孝
    1983 年 12 巻 2 号 p. 517-521
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    double-lumen構造のflexibleな留置用透析catheterの開発を行った。限られた外径のcatheterに2つのlumenを作り, 双方を体外循環のA側およびV側として使用するためにはA側の断面積はV側のそれより大きく, かつA側の壁の肉厚はV側のそれより厚くすることが必要であった。最大血流量300ml/min以上得られ, かつ200ml/minの血流の時のV圧が100mmHg以下という条件を目標にし, silicone rubberで試作をくりかえした結果, 外径12Fのcatheterでこの条件を満すflexible doublelumen catheterが完成した。A側の内側にteflon管を入れたのでSeldinger methodで上大静脈または下大静脈へ挿入可能となりtemporary blood accessとして有用なcatheterであると思われた。
  • ―コンピュータを導入した腎臓の常温保存システム―
    福井 康裕, 権田 金治, 市野 学, 伊藤 裕, 斉藤 剛, 村勢 則郎, 畠山 省四朗, 津金 孝行, 土肥 健純, 杉本 久之, 稲生 ...
    1983 年 12 巻 2 号 p. 522-525
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究はコンピュータ制御により, 生体内と同様の環境を人工的に作り出し, 生体臓器(腎臓)に代謝を行わせながら保存する, 生体臓器の常温保存(30~37℃)システムの開発を目的としている. 本システムは複数台のマイクロコンピュータによる階層構造型分散処理システムとなっている. 生体臓器は無菌常温が維持できる臓器保存箱の中で保存される. 灌血流は拍動流を採用しており, コンピュータ制御によって血圧・血流量の維持を行う. 臓器保存中の血液成分, 血圧, 血流量をコンピュータが自動計測して表示・格納を行う. また血液pH, PCO2,PO2の制御を行うための薬剤注入ポンプおよびガスミキサの開発も行った. さらに本システムではコンピュータによる, 臓器活性度の評価を試みている. 本システムの評価を行うため, 従来の保存システム(定常流灌流, マニュアル操作)と本システム(拍動流灌流, 自動計測)の両者で犬腎臓の常温保存を実施し, 比較検討を行った.
  • 小崎 正己
    1983 年 12 巻 2 号 p. 526
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 小林 弘忠, 小高 通夫, 平沢 博之, 大竹 喜雄, 織田 成人, 小林 進, 佐藤 博
    1983 年 12 巻 2 号 p. 527-530
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    sepsisおよびsepsisに惹起される一連のseptic ARFをはじめとする臓器障害を治療するにあたり、RES機能を重要視する事は有用である。活性炭を使用したDHPは、直接的にRES機能の一部を代行し、また間接的にRES機能の低下を防止するなどの機序により、人工的RESとして成立すると考えられる。
    以上の視点に立脚し、ラットsepsisモデルに対してDHPを施行し、救命率よりその有用性を検討した。その結果は、(1)群:活性炭DHP群53.3%(2)群:ガラス球DHP群37.5%(3)群:priming液投与群50.0%(4)群:無処置群45.8%であった。各群間に有意差はみられないが、活性炭DHPが、sepsis治療に有用との可能性を示唆する結果と考える。また、ラットという小動物を用いて適切なsepsisモデルを作製し、DHPを施行しえた事は、今後の研究を容易にしうるもので、大きな進歩といえよう。
  • 山本 実
    1983 年 12 巻 2 号 p. 531-533
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    急性肝不全に基づく肝性昏睡で意識レベルがIII~IVの段階で治療を開始した急性不全患者40症例(劇症肝炎35症例、妊娠性急性脂肪肝炎5症例)に対しcharcoal hemoperfusion, cuprophan membrane hemodialysisおよび血漿交換を併用した。劇症肝炎症例の救命し得たのは7症例のみであるが、これに反して妊娠性急性脂肪肝症例は5症例全例救命し得た。
    妊娠性急性脂肪肝は臨床症状が類似する劇症肝炎と異なり、肝実質の壊死および門脈域の細胞浸潤などの炎症変化は認められず、劇症肝炎に比較し、救命し得うる疾患である。
  • 施行前後および各種吸着剤での血液化学、血漿アミノ酸の変動について
    岡 藤太郎, 谷 徹, 松田 孝一, 橋本 宇史, 小杉 厚, 中根 佳宏, 小玉 正智
    1983 年 12 巻 2 号 p. 534-537
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝不全、高ビリルビン血症に対する血漿交換(PE)、活性炭によるDHP、Plasmaperfusion (PP)施行前後の血漿アミノ酸や生化学検査値を比較検討した。アミノ酸パターンはPEにおいて、高値のものに減少傾向を認め、DHP、PPではPHE、TYR、METなどに軽度の減少傾向がみられた。しかし、臨床的にはアミノ酸パターンの改善には不十分であり、特殊アミノ酸輸液の併用による相乗効果に期待が持たれる。ビリルビンはPPで36.9%の減少であつた。活性炭ではBatch法4時間で33%吸着されるものもあつたが、DHP、PPで使用しても10~20%の減少で、臨床的には不十分であつた。PPで使用可能な吸着剤をBatch法で検討したが、TBAは活性炭IRA-958、XAD-2、XAD-4、XAD-8、Hemorcsinで良く吸着されており、生化学検査上は特に問題となる変化はなく、これら吸着剤の臨床使用のために、肝不全物質の吸着についてHPLCなどで検討する必要があると思われる。
  • 高浜 龍彦, 飯塚 一郎, 金井 福栄, 平石 守, 矢部 清寿, 山崎 善彌, 比田井 耕, 丸山 雄二, 和田 達雄, 藤森 義蔵, 浅 ...
    1983 年 12 巻 2 号 p. 538-541
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来血液透析用dialyzerとして用いられて来たPMMA(polymethyl methacrylate)膜のすぐれた生体適合性に注目し, 新たにPMMAを素材とする血漿分離膜を開発してきたが, 今回この血漿分離膜を用いて肝全摘犬に対して正常ドナー犬門脈系との間で最長26時間におよぶ血漿交又灌流を行い病態の改善と生存時間の延長に明らかな効果を認めた。方法は雑種成犬に全麻下に開腹, Gore-Tex人工血管を用いて一期的に肝全摘を施行, 内頸静脈と大腿静脈に灌流用カニューレを挿入した。一方, 正常ドナー犬を開腹し, 脾静脈から門脈系へと, 大腿静脈へ同様にカニューレを挿入した。肝全摘後6時間目から, これら2頭の肝全摘犬と正常ドナー犬の間で2つのPMMA血漿分離膜で分離された血漿を肝全摘犬の全身血流とドナー犬の門脈血流へ交又灌流する血漿交又灌流を開始した。二つの血液ポンプの速度は50ml/分, 血漿ポンプは15ml/分に保った。
    術前, 術中を通して脳波, 動脈圧, 心電図を持続的にモニターし, また血液, 脳背髄液を3時間毎に採取し, 一般生化学検査の他に遊離アミノ酸, 胆汁酸の測定を行った。
    血漿交又灌流開始後数時間で, 自他覚的所見脳波の改善がみられ, 血中遊離アミノ酸, 胆汁酸濃度の低下, 改善がみられた。一方ドナー犬は灌流開始後一時意識レベルの低下ば認められたが次第に回復し, 肝全摘犬の遊離アミノ酸, 胆汁酸等の有害物質の門脈系への高濃度の流入にもかかわらず, 末梢血ではいずれも正常レベルに保たれていた。26時間の血漿交又灌流中PMMA膜は, TMPの上昇や溶血などを生じず安定した濾過性能を示した。本法は完全なcell-freeの血漿の交又灌流であるので, 免疫学的な反応防止上有利であり, また, 直接ドナー肝により肝全摘犬の有害物質の代謝が行われるため, 肝不全物質解毒の効率の点や, ドナーへの有害物質の作用を最小限に抑える点からも有効な方法と考えられる。
  • 天野 泉, 稲垣 豊, 溝上 雅史, 加納 英行
    1983 年 12 巻 2 号 p. 542-545
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    50例の急性肝不全患者にcharcoal hemoperfusion, PAN膜透析, そして膜分離法によるplasmaphersisを行い, 9例救命したが, これら救命例の治療開始時期の状況について非救命例と比較検討した。
    治療開始時の状況については, より早く, より簡易的に測定出来うる, 諸検査値を選んだ。それによると,
    (1)肝炎発生から昏睡までの期間が短かいこと。
    (2)動脈血pHが7.50を越さないこと。
    (3)血中総ビルルビン値が15mg/dl以下であること。
    (4)血中総アミノ酸が150mg/dl以下であること。
    等が救命可能要因といえた。
  • 堀内 孝, 大坪 修, 稲生 綱政
    1983 年 12 巻 2 号 p. 546-550
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝補助装置の評価は肝不全実験モデル作成における実験手技的困難さや目的とする除去物質が明らかとされていない事から, 臨床治験前に有用な情報を十分得るに至っていない。本報では虚血肝血漿, 無肝犬血漿, 肝extractの肝障害性を正常犬に注入することにより考察し, これら血漿および肝extractの吸着剤処理群と無処理群による肝障害性の差異を検討した。虚血肝血漿注入例では両群共に注入後一過性のトランスアミナーゼ, ビリルビンの上昇を示したが一週間後にはビリルビン値を除き正常値内に回復した。特に活性炭処理例は他例よりも早く正常化された。病理学的所見では無処理例, 樹脂群において肝細胞に広範なる水腫性変性及び肝構築の崩壊をみたが活性炭処理例では軽い変化にとどまっていた。一方, 無肝犬血漿注入例では生化学および病理学的所見において大きな変化は認められなかった。
  • 葛西 真一
    1983 年 12 巻 2 号 p. 551
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 菊地 真, 西山 誠, 井村 満男, 高谷 治, 杉浦 芳章, 尾形 利郎, 佐野 昭
    1983 年 12 巻 2 号 p. 552-555
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来提案されていた閉ループ形インスリン注入アルゴリズムでは、健常人のインスリン分泌特性を模倣した線形又は非線形の形で組み込まれたPD(比例+微分)動作に基づくものが多く、インスリン感受性やインスリンレセブタの異常などの個体差や時間的変化に起因して血糖値降下に大きなパラツキが生じた。さらに、コントロールゲインの決定には多大の経験を要した。本人工膵臓はモデル規範に基づく適応制御式血糖制御システムであり、STR(Self-tuning regulator)を採用した点が新しい。本装置を用いれば、患者パラメータやコントロールゲイン決定の為の事前の負荷試験が不要であり、血糖値は指定した血糖降下プロフィルに追従して降下する。さらに経時変化および個体差を適応的に補正するので理想とする閉ループ制御が実現できる。本システムの制御性を従来報告されている他の制御方式とシミュレーションにより比較するとともに、動物実験の結果を報告する。
  • ―微小針型ブドウ糖センサーの特性:H2O2型vs O2型―
    七里 元亮, 河盛 隆造, 鮴谷 佳和, 伯井 信美, 山崎 義光, 野村 誠, 菊池 幹雄, 阿部 裕
    1983 年 12 巻 2 号 p. 556-559
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    著者らは既に過酸化水素電極を用いた微小針型ブドウ糖センサー(H2O2型ブドウ糖センサー)を開発し, その有用性を報告してきた。今回センサー生体内留置時に問題となるセンサー出力の温度依存性および酸素命圧依存性についてin vitro, in vivo実験を行ない, そのセンサー特性を酸素電極を用いて作成したブドウ糖センサー(O2型ブドウ糖センサー)特性と比較検討した。
    温度依存性に関し, H2O2型およびO2型ブドウ糖センサーに差を認めなかった。酸素分圧依存性に関しては, H2O2型は酸素分圧30~150mmHgでは出力変化が軽微であり, 一方O2型な酸素依存性が大であった。 H2O2型は皮下組織内留置時生理的範囲での局所酸素分圧変化に影響されることなく, 血糖に―致した出力を示した。一方O2型の出力は局所酸素分圧の変動に大きく影響された。以上よりH2O2型ブドウ糖センサーは携帯型人工膵島システムの計測部門としての有用性が強く示唆された。
  • 池田 章一郎, 伊藤 要, 清水 昇市, 梅野 正義, 市川 健次, 湯川 孝雄, 近藤 達平, 桜井 孝一
    1983 年 12 巻 2 号 p. 560-563
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Closed-loop型人工膵臓システムにおいて, インスリン注入ボンプの制御部分に, 比例動作だけでなく, 微分動作および定数項成分をも加えるアナログ演算回路を増設した回路を試作した. PD制御回路部分の消費電力は±6.6Vの時8mWと非常に小さくできた. 微分動作を1分毎のサンプル・ホールドの繰返しによった時, ホールド電圧は約2mV減少し, モード切替時のオフセット変動は, センサー出力が2.5Vの時最大6.4mV生じ, 血糖値変化が小さい時には影響が無視できなかったが, コンピュータ・シミュレーションによりP制御のみと比較した結果3時間で300から130mg/dlまでの降下では約8%の注入量の減少が認められた. ファンクションジェネレータによるin vitro試験および動物実験においても試作したPD制御回路の有効性が確認できた.
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