抄録
心臓手術における体外循環の際、腎機能の悪い症例や緊急手術時に肺水分量の増加せる症例を想定し、体外循環(以下CPB)中のUltrafiltration (以下UF)の効果について、成犬を用い実験的に検討した。成犬8匹をコントロール群(I群)とUF使用群(II群)に分け2時間のCPBを行った。前者は心拍動のままで左房よりネラトンによる左室Ventとし、後者はCardioplegiaやIce-slushを用い、90分の心停止を行った。その間CPB送血流量を100cc/kg/min以上になるようにした。CPB送血回路とReservoir間に回路を1つ余分に設け、UF内の血液は毎分200~300mlとした。肺血管外水分量(EVLW)の測定は、Lung water computer (Edwards lab.)を用い、CPB使用前後において行った。II群のCPB後の血行動態及びEVLWは、I群に比較し、明らかに良好な成績を示した。直接法によるEVLWは6匹に得られたが、ComputerによるEVLWとよい相関を示した。