人工臓器
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Perfluorochemicalsの撰択的冠動脈造影への応用
板岡 俊成和田 寿郎毛井 純一笹生 正人山口 明満笠置 康長柄 英男横山 正義
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1983 年 12 巻 2 号 p. 495-502

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抄録
撰択的冠動脈造影は虚血性心疾患等の心疾患の診断に有用な検査法であるが, 従来より検査中の心機能低下および不整脈などが報告され, 反面で危険を含む検査でもある。
我々は, これらの原因として撰択的冠動脈造影中の冠血流が一時的に減少し造影領域心筋の虚血性変化を考え酸素供授能を有す造影剤を開発してきた。今回, FDAを混入した10% PFC濃度のPFC含有造影剤を作成し酸素付加を行って虚血性心疾患16症例にて撰択的冠動脈造影を行った。対照として従来使用造影剤を冠動脈造影に使用し心電図上の変化を比較検討した。PFCを有さない従来使用造影剤群では, 撰択的左冠動脈造影時のΣST変化(5秒値)が-1.33±0.36mmとなり, PFC含有造影剤群に比べ, 有意に虚血性変化が強かった。従来造影剤にPFCを混入し酸素付加を行い酸素供授能を有す造影剤を使用することにより, より安全に撰択的冠動脈造影を行い得た。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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