抄録
我々の左心補助理論に基けば, 重症左心不全循環系では, 単なる流量補助は左室負荷となり, 左室のunloadingを同時に必要とする. しかし, 現在までの左室バイパス法では, 左室に大口径の導管を接続することは技術的に容易ではない. そこで, 左房バイパスの技術的容易性と左室バイパスの血行動態的優秀性とをドッキングさせることを考えた. 即ち, 心拍出量の60~80%を左房バイパスし, 残りの20~40%を左室バイパスさせれば, 左室の導管は小口径ですみ, 手術手技も容易となる. 我々の制御器は, 左室導管と左房導管とをYで心臓外で連結しても, 左室から左房への逆流はおこらないので, 上記目的は容易に達成されることが, 犬の実験で確められ, Total l-heart bypassと左室の完全なunloadingとが実証された.