抄録
完全植込み型人工心臓と共に体内に植込む駆動装置として、フラットタイプのプラシレス直流モーターのローター周囲に多数の羽根を植付け、モーターと偏平軸流ポンプを一体化して組立てたもの、及び比較的細長いローターと同軸上に半径の小さい軸流ホンプを有する長軸タイプブラシレス直流モーターポンプを試作し、仔牛を用いて動物実験を行った。モーターポンプ単体として回流水槽によりその性能を測定した結果、圧力、流量共に長軸タイプの方が成績がよく、モーター及びポンプの総合効率は最大53%に達した。又人工心臓と組合せて正転、逆転を反復してモック試験により拍出性能を測定した結果、フラツトタイプのものはローターの慣性が大きい為に、心拍数が多い時には作動が不十分になることがわかつた。又、作動媒体であるシリコンオイルの温度上昇を計測し、改良型の長軸型のものが最小であつたが、それでも約33℃の温度上昇を記録した。この点について将来の改善が待たれる。