抄録
先端口より左房血液を脱血し、側孔よ9右房血液を混合脱血する1本の側孔付カニユーレによる両心室補助の目的で、カニユーレの口径と側孔の大きさの選定のためにin vitroにて実験を行い、30Fのカニユーレを選択し、側孔の大きさは先端口の面積に対して1/2とした。
この選択したカニユーレを用い10頭の雑種成犬でinflow occulusionにて卵円窩切開により先端口を左房側に、側孔を右房側に留置固定し、ローラーポンプにて吸引脱血法により両心室バイパスの実験を行った。血液ガス分析の結果より右房脱血量及び左房脱血量を計算し、右房圧、左房圧及び上行大動脈圧を測定し、両心室補助効果を判定した。吸引脱血により吸引側回路に陰圧が加わるために吸引回路内圧を測定した。30Fカニユーレは高流量でも低陰圧を示し、心内圧の測定結果より両心室補助効果は著明であつた。1本の側孔付カニユーレによる両心房からの吸引バイパス法は心拍出量の60%まで補助が可能であつた。