抄録
われわれは, 無拍動流灌流下での種々の生体反応を知るために, 定常流ポンプを用いて両心バイパスを行い長期生存実験を行った。その結果5頭の30日以上最高99日までの長期生存例が得られ, 無拍動流灌流下での生理現象を知ることが出来た。血行動態および重要臓器機能においては, 全経過を通じてほぼ正常域に維持できた。また右心房圧と血流量とは高い相関関係を示し, 血流量が低下すると右心房圧の上昇を認めた。このことより正常域の右心房圧(10mmHg以下)に維持するためには, 血流量は90ml/kg/minを必要とした。また血流量が90ml/kg/min以下の血流量になるとPvO2の低下, A-VO2較差の増大, CBVの増加がみられ, 無拍動流灌流下での至適灌流量は90ml/kg/min以上必要であると考えられた。