抄録
人工心臓用に開発したダクト付ボール弁の特性評価の一環として, Bjork-Shiely弁(B-S弁), S. J. M. 弁とのWater hummer現象に関する比較実験を行った。その結果Water hummerの大きさは, 弁の種類によらず, 弁座位における逆流ピーク時ともれ期の速度差によって決まることが判明し, 逆流の少い弁の優位性が認められた。また, ダクト付ボール弁のダクト形状について, ボール回りの定常流れの数値解析により改良を行い, よりなめらかな流れをつくる改良型ダクト付ボール弁を試作した。この改良型ダクト付ボール弁の定常流下, 拍動流下の圧力―流量特性を記録し, 従来のダクト付ボール弁, B-S弁, SJM弁と比較した。このダクト形状の改良により, 定流下圧力損失, 閉鎖時の逆流量ともに大幅に軽減され, Water hummerも格段と小さく抑えることができた。