抄録
弁置換術後のparavalvular leakageに関して, 教室で過去2年半に経験した5症例の心エコー所見を検討した。このうち4例は感染性心内膜炎を伴なつていた。UCTGによるM mode scanでは, M弁の逆流の場合, 急速に悪化する心不全症状, 左室容量負荷による中隔の動きの正常化, hyperdynamicな左室の収縮, EF, mVcfの増加が特徴であり, LVDdの拡大はみられなかった。A弁の逆流では, 左室の容量負荷による所見は, 数ケ月以上かかつて徐々に進行し, LVDdの拡大がみられたが, EF, mVcfの増加は著しくなかつた。
弁置換手術後に中隔運動の正常化と左室のhyperdynamicな収縮など左室の容量負荷がみられた場合, paravalvular leakageを疑つて, 早急な再手術を行なうべきだと考えられた。