人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
大動脈弁置換術前後のコンピューター解析による左室局所壁運動の検討
橋本 和弘鈴木 茂小机 敏昭佐々木 達海木内 宗三郎水野 朝敏新井 達太
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 13 巻 1 号 p. 287-290

詳細
抄録
AR19例を対象としてAVR後の左心機能の改善性について検討した。術後NYHAの改善に伴い, CTR, SV1+RV5, LVESVI, LVEDVI, の各種心機能指標も有意な改善を示し, AVRはARによる循環不全, 左室拡張の改善に有効であった。左室収縮性の指標であるmVCF, EFの改善も著明であり, 低下した左室の収縮機能はreversibleであると考えられた。さらにコンピューターにより左室局所壁運動を定量的に解析し, AVR前後の局所壁運動の変化, 区域的差異について検討を加えた。術前, 局所壁運動の低下には軽度ながら区域的差異が認められ, Segment 1, 3の障害が強かった。術後の改善性においても区域的差異がみられ, 術前障害の強かったSegment 1, 3の改善性が悪かった。障害の少なかったSegment 2, 4, 5の改善は良好であった。又術後の局所壁運動の改善性に関して, 術前EF値は影響を与えなかったが, 左室容積(大動脈弁輪径―挿入人工弁サイズ)との関係が強く, 挿入人工弁サイズの大きい群の改善が悪かった。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top