抄録
昭和51年1月よりリチウム電池ペースメーカーを187個植込んだが、最近電池消耗の為これらの交換を行う症例が増えつつある。従来よりrateの減少やpulse幅の延長等を交換時の指標としてきたが、最近2例にRateの減少をみずに突然電池消耗によるpacing failureを経験しrateやpulse幅の測定のみでは寿命予知に不十分であることを知った。定電圧型pacemakerでは負荷抵抗が低いと電池消耗が早いことに着目し、以後オシロスコープにより、刺激波形を分析し電極間抵抗を測定することにより電池消耗の程度の予知を試み、その結果を検討したところ次の結論を得た。1)電極間抵抗の経時的変化をみると、植込後1年半まではやゝ不安定であるが、その後は安定した値を示した。2)電極間抵抗と電池寿命との関係をみると、電極間抵抗値はmagnet rateの減少率とは良い相関を示すが、電池消耗率とは低い相関しか示さず、電極間抵抗の測定は電池消耗の程度を知る上で有用であるとの可能性を示唆するにとどまった。