人工臓器
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高度腎機能障害例における拍動流体外循環の応用
松田 暉広瀬 一中埜 粛白倉 良太奥田 彰洋前田 世礼高 義昭金香 充範大竹 重彰野村 文一川島 康生
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1984 年 13 巻 1 号 p. 521-524

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抄録
拍動流体外循環の有用性を, クレアチニンクリアランス(CCr)30ml/min以下の術前高度腎機能障害例の開心術にて検討した。対象は10例の後天性心疾患患者で, 年令は48~71才(平均61), 術前Ccrは120~190ml/min(平均20.4)であった。体外循環は平均177±66分で, Cobe pulsatile pumpによる拍動流を6例に用い, 非拍動の4例と比較した。術前値ではCcrが拍動群で有意に低値であった。術後の血清BUN, クレチアニン値には両群間に差はなかった。Ccrの術後3日目と術前の変化(ΔCcr)をみると, 体外循環4時間以上の1例を除いた9例では, 拍動群が, +0.8±2.9, 非拍動群が-9.5±6.1と有意(P<0.05)に非拍動群が低下を示した。体外循環時間と尿量, ΔCCrとの間に有意の相関はみなかった。病院死は非拍動の2例で, Ccr20ml/min以下の5例を含め拍動流全例が生存した。高度腎機能障害例において, 拍動流の有用性が示唆されたが, 他の多くの因子の影響も考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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