抄録
開心術後の腎不全、肝不全に対し、5例中4例に血液透析を、2例にPlasma pheresisを施行し3例を救命し得た。年令は36才から66才、男女比は4:1であった。血液透析開始時期は術後2日から7日であり、plasama pheresis開始はいずれも術後1日であった。乏尿、非乏尿にかかわらず、自由水クリアランスを腎不全の指標とし、早期から中心静脈栄養を50%糖液とアミノ酸製剤を用いて行い1000~1500cal/日の投与を目標とした。腹膜透析を行うことなく初回早期から心不全の状態に関係なく血液透析を開始したが、血行動態への悪影響は認められなかった。非乏尿性腎不全では血漿クレアチニン6mg/dl、BUN 100mg/dl、乏尿性腎不全では血漿クレアチニン3mg/dl、BUN 50mg/dlを血液透析開始の指標とした。plasama pheresisは開心術後の遊離ヘモグロビンを低下させ得たが、いわゆる肝腎症候群に対して行った1例では効果は一時的であった。