抄録
血液成分の損傷が少ないと言われる膜型人工肺の中でも, 落差脱血を利用して単一のポンプで運転可能なLPM-50肺を教室の1回通過法で検定し, 満足し得る酸素添加能, 及び炭酸ガス排出能を認め, その運転指標となる適正膜指数と人工肺制御指数を認めた。適正膜指数は0.5~1.5l/min/M2であった。人工肺制御指数は0.5l/min/M2の時0.4~0.7, 1.0l/min/M2の時0.8~1.2, 1.5l/min/M2の時1.0以上であった。
この指標に基づき, 成人開心術26例に臨床応用し, ほぼ満足しうる結果を得た。従来の膜型肺ではポンプより生体側に人工肺を設置するため, 拍動流ポンプ使用時には人工肺による圧損, 分離体外循環では1つのポンプ毎に人工肺が必要という繁雑さが問題であったが, LPM-50肺は脱血側に設置するためこれらの問題を解消し有用であった。